SIMPLE2000シリーズ簡易レビュー
THE 特撮変身ヒーロー |
ゲームの概要はと云えば、かの「正義の味方」に酷似した、
自分のオリジナルのヒーローを作って大暴れするという内容。
なるほど、企画としてはいつにもまして魅力的である。
また「正義の味方」とは違い、戦闘シーンも完全に3Dアクションとなっている。
だがこのアクションがくせもの。まずなんと云っても「冗長」これに尽きる。
なにより爽快感が全く無いというのは如何なものか。
毎回20〜30人ほどの戦闘員を倒すのだが、敵の攻撃パターンが変わり映えしない為、
後半は作業的な状況に陥ってしまう。
さらに敵の耐久力が地味に高く、これが戦闘のテンポを一層悪くしている。
惰性で戦闘員をボコスカ殴るヒーロー。なんだかアンニュイだ。
また、ゲームの肝であるヒーローのカスタマイズ部分。これもまた良さが全く活かされていない。
見た目だけでは楽しそうなのだが。なんと云っても融通の利かないパーツが多く、
自分の好きなようにカスタマイズしているという実感がいまいち沸いてこない。
さらに数自体もそれほど多くは無い為、コンプリート要素も簡単に終わってしまうのが難点。
とはいえ、ネタゲーとしてはこれがなかなかの上質。お約束な展開の中、
変な方向に個性の突出した怪人なんかは一見の価値あり。
他にも「このあとすぐ」や「提供」のアイキャッチ、主人公の名前(本条タケル)など、
ニヤリとできる小ネタやお約束が利いているのがたまらないところも。
でも見た目がそのまんま「ハカイダー」な敵の名前が「ヤバイダー」で、
かつ使う武器の名前が「ヤバイダーショット」だった時は流石にどうだろうと思ったが。
本当に、かなり「勿体無い」作品。企画としては本当に面白い。
それを活かすコトができれば、もしかしたら大化けしたかもしれない。
購入の際は、ネタゲーとして買うならばまぁ許容範囲。
それ以外を期待して買うのは止めておいた方が無難といったところか。
THE はじめてのRPG 〜伝説の継承者〜 |
まず管理人が一見して思いだした物は「RPGツクール2000」で作られたRPG。
その辺で配布されているフリーのRPGかのような「安くささ」が良い意味でも悪い意味でも漂っている。
だが、最近のRPGには少ない「とっつき易さ」はある。
システム面はかの「ドラクエ」のものとほぼ、というより全く変わらない。
というより教会での台詞や「そして夜が明けた!」などの文章を見る限り、
これは半ば確信犯的にそうしたのだろう。
ゲームバランスは、序盤は緩いと思わせ後半は厳しく。
レトロなRPGの雰囲気を絶妙に醸し出したバランスが素晴らしい。
きちんとレベル上げしなければ勝てない敵などに出会った時など、
幼い頃にやった「レベル上げ」の感覚を思い出させてくれる。
また、主要キャラクターは全く喋らない。これもまた昔懐かしのゲームをイメージしてのコトなのだろう。
人によっては物足りないのかもしれないが。
キャラクターごとの特性(この場合、戦闘に置いての使いやすさ)が中途半端なところも、
どこか「ドラクエ?」を彷彿とさせる。
アイテムや魔法のネーミングに関しては、若干適当過ぎて、レトロというより手抜きに見えなくもないが、
変に捻って痛くなるよりはマシと云ったところか。
結論的には、昔懐かしのゲームがやりたい方や、ちょっとした暇つぶしをしたい方なんかには普通にオススメできる作品ではないかと思う。
実際のところ、これは「はじめて(RPGをやる人の為)のRPG」ではなく、
「はじめて(RPGをやった時の懐かしさを思い出す為)のRPG」なのだ。
余談だがパッケージで王女が「棍」のような武器を持っているが、
ゲーム中にそのような武器は登場しない。彼女の武器は「斧」である。
爆走!マンハッタン |
まず、これがどんなゲームか説明させて頂こう。端的に云えばレースゲームある。
戦車が機銃を乱射しながら町を蹂躙し、ボートが地下鉄を走り、お茶汲み人形が自爆しビットを飛ばす。
そんな「レースゲーム」である。
ただのレースゲームがやりたいという人間にはお勧めしない。
これは上記に書いたような「はちゃめちゃさ」を求める人間にこそお勧めできる作品だろう。
グラフィックはPS2作品にしては粗さが目立ち、
若干見た目の近い「クレイジータクシー」や「GTA3」には遠く及ばない。どことなく垢抜けないBGMに、
操作性の悪さからくる難易度の高さ、ボリュームの少なさなど、不満点は多々ある。
車種は多々あれど、性能差が激しく使い物にならない車も少なからず存在するし、
自由度が高そうで実は制限ばかりのマップなども良い要素とは云えない。
しかしそれでもやめるコトができない「面白味」がこのゲームには確かに存在している。
ミッションの少なさを補うだけのやり込み要素の多さや、それを満たす為の条件の理不尽っぷりなど、
生粋の「マゾゲーマー」にはたまらない。繰り返し、繰り返し楽しむごとに、
少しづつその面白さに気付いていく、これはいわばスルメのような作品だ。
あくまでも人を選ぶ作品であるコトは確かだが、
一度この魅力に気づいてしまえばまんまと中毒るゲームなのではなかろうか。
実際のところ、管理人がプレイしたSIMPLE2000シリーズは多々あれど、
その中で最もプレイ時間が長いのは実はこのゲームなのだ。
THE 恋愛ホラーアドベンチャー 〜漂流少女 〜 |
SIMPLEシリーズのアドベンチャーには、所謂「移植物」や「廉価版」が多い。
だがこの作品に関しては、珍しくSIMPLEシリーズの完全オリジナル作品なのだ。
そう云った意味では貴重な作品なのかもしれない。
故に、この作品は実にSIMPLEらしい「安くささ」と「適当さ」を兼ね備えた、
お手軽アドベンチャーに仕上がっている。
強引にして変わり映えのしない展開。何処かで見たようなストーリー。
記号的な要素はあれど個性の全く無いキャラクター。
等々、SIMPLEらしさい要素がそこかしこに感じられるのだ。
地の文が少ないせいで主人公の独り言がやけに多いなど、気になる点も多い。
勿論不満点ばかりではない。
CGは丁寧に描かれているし、キャラクターは主人公以外フルボイス。
声優さんの演技も少し気になる程度で許容範囲。
ただ、ホラーとは云うもののホラー要素はそれほどない。
(※幽霊や化物といった類のものは登場するのだが)
本作は閉鎖空間からの脱出劇なのだから、
むしろ恋愛サバイバルアドベンチャーと云ってしまった方がいっそ的確だったのではなかろうか。
しかしそんなサバイバル要素も、残念ながら本作ではあまり巧く活かされてはいない。
この作品の重大な要素の一つとして、限られた食料を仲間達に考えて分配しなければならない、
というシステムがある。配分を間違えるとキャラクターが死亡してしまうコトもあるのだ。
勿論それは説明書や公式サイトでも説明されている。
だが、イベントの都合上、決して死ぬコトの無いキャラクターが存在するのである。
私的にはこれが少々拍子抜けであった。
さらに云えば、配分をいくら偏ったものにしようと(例え一切配分しなかったとしても)、
仲間は誰一人として文句は云わない。他にも不自然な点などは多々あるのだが、
SIMPLEシリーズとして見れば、まぁ及第点と云ったところか。決して遊べないゲームではない。
ただ、1周目で全ての謎解きが分かってしまう上に、他のキャラでも一切展開が変わらない為、
2周目以降は作業になってしまうのが一番の難点か
恋愛要素ありの、こざっぱりとしたアドベンチャーをやりたいという方ならば、
試しにやってみても良いのではなかろうか。
THE 娘育成シミュレーション 〜お父さんといっしょ〜 |
娘育成というからには見所は娘なのだろうが、真の見所は「主人公」であろう。
それほどまでに主人公の「奇行っぷり」が激しい作品なのだ。
例えば、冒頭部分のあらすじを簡単に書いてみよう。
自宅に突然、送り主不明の荷物が届き、主人公はそれを何の疑問も抱かずに受け取る。
開けると中からは大きな卵が。
それを「暖めたら孵るかも」みたいなコトを云いながら本気で暖め始める主人公。
すると卵の中から赤ん坊の女の子が。
しかし「まぁいいか」とでも云わんばかりに主人公はその赤ん坊を平然と育て始める。
このようにプロローグからして突っ込みどころが満載である。
そのあまりの行動の突飛っぷりにはもう薄ら笑いを浮かべるしかない。
しかもそんな彼は現役大学生。毎月を親の仕送り(1万円)で生活している。
作中表現から見るに、恐らくバイトなどはしていない。
一方、娘の成長は普通の人間よりも早く、ゲームでは小学校や中学校、高校にも入学するコトになる。
ちゃんと義務教育を受けさせている主人公がなんとも健気ではないか。
ところで学費とか養育費はどうしてるんだとか云う突っ込みは野暮というもの。
と、いつまでもネタ的な紹介をしていても仕方が無いので、肝心のゲームについて。
いわば劣化「プリンセスメーカー」なのだ。
娘に色々な学習をさせ、時に一緒に遊び、プレゼントをあげたりもする。
そしてエンディングで娘の将来(約20種類)が決まるといったところ。
娘に対して「貢ぐ」ゲームであるコトは本家とは変わり無い。
育成パートはいたって作業的。
その割に期間が長いので、後半はほとんどルーチンワークになるのが不満点。
その為、繰り返しプレイする気がいまいち沸いてこない(※このタイプのゲームでは致命的)のが、
一番の問題と云ったところか。
エンディングには予想外の結末が用意されている。
このある意味「超シナリオ」なEDは、一見の価値あり。
ちなみにパッケージの絵を見て「もしかして娘とあんな関係になるEDも」なんて思われた方。ビンゴだ。
しかしこの結末を迎えた場合、倫理的にまずいコトにはならないように別パターンの結末が用意されている。変なところでご丁寧だ。